金井税務会計事務所

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不名誉な記録

土曜日, 8月 20, 2011
平成23年8月8日号の帝国商工リサーチに、本年6月に国税庁が発表した都道府県別赤字法人率調査が解説付きで掲載されていたことはご存じでしょう。
  これによると2005年、長野県の赤字法人割合は78.54%、2006年度は77.64%でダントツの一位。2007年から2009年は徳島県がトップで、長野県は二位。二位とは言っても2009年度の赤字法人割合は81.71%で、不名誉な一位の時よりも更に悪化していることが鮮明です。
 長野県は全国一の長寿国である。日本が世界一の長寿国であるから、長野県は世界一の長寿県なのである。   にもかかわらず不名誉な記録が更新されているのは何故なのか。今から13年前の冬季長野オリンピックの公共事業が激減したとか、革新知事による公共事業の削減が影響しているとかの犯人捜しをしても意味がない。確かに建設関連事業の落ち込みは依然として続いているが、中でも落ち込みが大きいのは製造業である。
 我が社の労働分配率をチェックしていますか?
  労働分配率は企業の業績を左右する重要な指標で、労働分配率が50%〜70%は不安定企業。70%以上は危険企業と判定され、万年赤字の企業は60%以上が殆どです。
  この労働分配率を提唱したのがアメリカのアラン・ラッカーと言う人で、企業が創出する付加価値と人件費総額に相関関係がある事を発見し、以後この考え方をラッカープランと言い、40%が理想的であると説いています。
 付加価値とは何か?
 付加価値の定義は、付加価値とは売上高の変動に正比例する費用、則ち、仕入額と外注費を控除した金額を言います。
  数式では付加価値=売上高-(仕入高+外注費)。一般的には総利益とか粗利益と言います。社内で発生する費用の内、売上高に変動して増減する費用、則ち仕入高と外注費は変動費と言います。一方、売上高の増減に関係なく発生する費用を期間費用または固定費と言います。会計上、この考え方を直接原価計算と言い、経営判断には欠かせない手法です。
  労働分配率は、付加価値と人件費総額との関係ですから、改善するためには付加価値を上げるか、人件費を見直すかです。実務的には労働分配率が高い企業は社員の直間比率に無頓着な経営者が多いと言うことです。
  製造業では直接工、販売業ではセールスマンが直接社員で、後は全て直接工を後方支援するサービス部門と言えます。この内、大切な付加価値を生み出す社員は直接社員だけです。だから直間比率の見直しはトップ自らの権限で行うのです。実務的に業績の良い企業の直間比率は7対3か8対2程度で、極端に間接人員を絞っています。
 直間比率見直しの原則とは
  社員を採用するときの原則をご存じでしょうか。社員の採用は仕事が忙しいから採用するのではなく、付加価値が増加するかどうかで判断すべきなのです。忙しいという判断だけで採用していませんか。
  次の見直しは、社内資料の徹底見直しです。社内の資料は何のために作られているのでしょうか。法律に基づくもの、税法に基づくもの、会計に基づくもの等法律によって義務づけられているもの以外に各種の資料が作成されています。
  法律で義務づけられた資料以外は全て経営判断資料です。経営判断資料である限り、企業のトップが必要な資料となります。これ以外は本来ならば必要のない資料です。トップが油断していると、トップが必要としていない資料を担当者の都合でどんどん作成してしまい、自己増殖を始めます。自己増殖の費用には全てコストが掛かっているのです。
  だから、間接人員が多いと感じたならば、年に一度は社員の業務を棚卸すべきです。中にはトップの知らない経営資料を社員の都合で実に細かく作り上げ自慢している社員もいることに気付かないトップもいるかも知れません。このようなケースの場合,直間比率は50%を超えています。
 不名誉な記録から脱出するためにも、足下から見直し、一日でも早い回復をしましょう。

テーマ: 経営