金井税務会計事務所

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新しく生まれ変わった事業性評価融資の概要について

木曜日, 10月 20, 2016

  事務所通信9月号でもお伝えしましたが、森金融庁長官の誕生で金融行政が劇的に変化し、中小・零細企業には対応次第で強い味方となります。このチャンスを掴むため、改めて概要をお伝えします。

従来の金融機関のあり方の反省

  地元の金融機関は、融資の際に財務諸表(決算書)分析に重点を置き、担保・保証・金利を決定していた事実がアンケート調査によって浮かび上がってきました。財務諸表分析は、過去の数字を分析するもので、将来に対する見通しは殆ど行っていませんでした。

  また、バブル崩壊後、「金融検査マニュアル」の厳格な対応が求められた結果、金融検査マニュアルに合格することが目的化されて、地元企業の育成は全く無視されてしまっていたのです。  

  この間、金融危機を脱出するため信用保証制度が拡充されて、金融機関は100%保証が可能となりノーリスクでの融資が当たり前となってしまったのです。この結果、金融機関の本業であるプロパー融資が激減し、いわゆる「目利き」の能力が極端に低下してしまいました。

  このため、本業である貸し出し収益が低迷し、国債や高リスク債権などの有価証券運用に傾き、リスクを蓄積し、マイナス金利政策で業績はさらに悪化しているのが現状です。

  さらに、ノーリスク融資が当たり前になった関係で、本業であるプロパー融資が激減した結果、短期借入金制度が崩壊し、中小・零細企業の生命線である運転資金が枯渇し、経営の足を引っ張る結果となってしまったのです。かつて短期借入金制度は、利息を払うだけで運転資金が利用出来、自己資本的な安定資金として活用できたのです。

  ところが、金融機関によっては短期借入金の欠点を利用して、金曜日の午後3時過ぎになって突然融資ストップの連絡が入り、倒産させたケースが散見され、経営者は自己防衛のため、契約で保証されている長期借入金にシフトする傾向となり、ますます運転資金が減少するという悪循環が始まってしまったのです。

 この欠陥を是正するため、金融庁は運転資金を確保するためプロパー融資を積極的に薦めているのです。

事業性評価融資への質的転換

  これまで過去の決算書を中心にして定量分析を行い、担保・保証・金利を決定してきた融資方法を定性分析に重点をおいた融資に質的転換を図る方法が主流になりつつあります。

  定性分析とは、数字に表しにくい重要項目である企業の事業内容や将来性について新しい判断基準に基づいて分析を行う手法です。具体的には取扱商品の特徴、サービス方法の特徴、顧客力、営業力、生産力、技術力、組織管理力、社員力、経営者能力、SWOT分析力、経営理念の有無等々を対象とします。

 より理解を深めるために、リンゴの木を例題に説明します。

  リンゴの果実は、今日までの努力が実った結果です。これは企業の決算書(定量分析)に該当します。今年は、密度の濃い良質なリンゴが大量に収穫できて豊作だった。でも、収穫できた瞬間から過去の数字となってしまいます。これを分析して融資を決定するのが、従来の方法でした。

  実は、良質のリンゴが収穫できたのは、強い幹を育てた「根」があってこそなのです。将来のリンゴを収穫できるのは、根っこである商品力、サービス力、顧客力、営業力、生産力、技術力、組織力、社員力、経営者能力、SWOT分析力、経営理念の有無によって決定します。

  しかし、これらの項目は数字では表すことが出来ません。これを定性分析と言い、金融機関が敬遠してきた項目なのです。ここに徹底的な焦点を当てることにより、より深度の高い「目利き」を活用し、中小・零細企業のためになる本物の金融機関の誕生となるのです。金融機関にとってきつい課題となりますが、これ以外に生き延びる道はありません。

奇跡のリンゴの教訓  

ご存知、木村秋則氏の死闘のりんご園経営体験談は本になり映画になり、自然農法の先駆者としても活躍しています。   リンゴ栽培は、農薬と化学肥料がないと不可能であると言う常識をひっくり返したものです。直接の原因は、妻の体質が農薬と化学肥料に合わないので、どうしたら無農薬農法が出来るかという思いがスタートで、苦節7年、「根」を強くすれば立派な果実が出来ることを発見。「根」を強くするためには「微生物」を活用することによって腐葉土を再発酵させ、すき込みを行えば「根」は4倍の根っこを張り、雑草や害虫に負けない強い幹が出来、結果として良質な収穫が出来、腐らないリンゴとして有名なったのです。一般のリンゴの木の根の長さは7メートル程度に対し木村さんのリンゴの木の根は20メートルに程度に達し、自分で栄養が摂れるように変化したのです。

 蛇足   今日、松食い虫が全国的に蔓延し、至る所で松枯れ現象が起きています。原因は農薬散布によって松の生命力が弱ったため、松ヤニの生産力が減少したためと言われています。松ヤニが豊富に出ると、松食い虫は死滅してしまうようです。「根」を強くする方法を考えれば、一件落着かも知れません。答えは意外と身近にあるものです。

 我が社の根を、もっと強くする方法を考えましょう。従来から事務所で提唱している「理念型経営」は、この根っこに当たるものです。

テーマ: 経営