金井税務会計事務所

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多忙が招く陥穽

金曜日, 11月 19, 2010
次の文章はいつ頃のものか解りますか。
曰く「今時の人は、口癖のように忙しいという。しかし、そのしているところを見ると、実際に必要な事をしているのは十のうち一、ニに過ぎず、つまらない仕事が十の内八、九である。そして、このつまらない仕事を必要な仕事と思っているのであるから、これは忙しいのももっともなことだ。本当に何かをしようとする志のある者は、こんな穴に入り込んではいけない」
 これは幕末の有名な儒学者佐藤一齊が1813年から1853年の40年間にわたって著した「言志四録」の中の文章で、現代語訳したものです。
  「言志四録」はご存じのように、幕末維新の志士たちがバイブルとして活用し、最強の人生指南書と言われ、明治大学の斉藤教授が現代語で解説したものからの抜粋です。
  時代が変わろうと人間の心理は変わらないようです。多忙の「忙」という文字は、心が滅ぶという意味のようです。従って、忙しいという言葉を使いすぎる傾向の人は、いつの間にか目先の仕事に目が奪われてしまい、経営者の根本業務である「経営」が疎かになりがちです。
 目先の仕事は、ルーチンワークですから本来は社員が行う業務です。社員が行う業務を経営者が一所懸命になって行えば「経営」は一体誰がするのでしょうか。
  これに陥ってしまうと重大な時流の変化に気付かず、従来からの惰性が支配し、業績が思うように向上しません。このようなタイプの経営者はおおむね「人頼りの姿勢」が強く「自分から主体的に行動する」姿勢が弱いのが特徴です。
  本来、経営者の基本業務は「経営」することであり、その姿勢は「人頼りの姿勢」ではなく、「自分から主体的に行動する」姿勢でなければいけないのです。この体質が強くなると最も大切な我が社の「経営理念」を確立することを忘れて、いわゆる戦術論で経営を行い、業績を落としているケースが散見します。経営の原則を軽視すると、何をどうしたら良いのか解らなくなり、不安感に陥り、打つ手に統一性がなく、社内が バラバラに行動し持てる力を発揮できないでいるのです。
 具体的にはどうするのか。
  事業を継続させるためには、いくらの利益を確保しなければならないのか、そのためには固定費をどのように配分して使うのか、固定費と必要利益を確保するために付加価値をいくら獲得しなければならないのか、その付加価値を実現するためにいくらの売り上げを達成させるのかを計画し実行させる事が経営者の根本業務なのです。
  それにもかかわらず多忙を理由に、私は数字に弱いと言っている経営者をたまに見かけます。これでは経営者自らが経営を軽視し、本来社員が行う管理に重点を置いていることで業績向上は望めません。
 「経営」とは、経営者自らが計画し、実践を通して、その差異を発見し埋めていく業務なのです。「計画」 は我が社のお客様に対する期待であり、実績はお客様が我が社に下した答えなのです。その差額を如何にして縮小させるかが経営者の仕事でなのです。
 だから私は数字に弱いなんて「人頼りの姿勢」  を示すことは決して褒められた事ではないのです。数字は経営者自らが創り上げることこそ本筋であり、創り上げた計画を実践させる事が管理なのです。
  「多忙」を理由にしてしまうと、最も大切な「経営」に対するエネルギーを日常業務の「管理」に移してしまい忙しいのに業績が向上しないという結果を招いてしまうのです。
  人間の手と口と足を動かせた結果が数字として現れますので、取りあえず行動することから始めたいです。多忙を理由にしてしまえば最も大事な「経営」が疎かになってしまいます。
 ※上記の文章は10月16日ヤフーブログ「張子房塾」を加筆修正したものです。

テーマ: 経営