代表者挨拶

仮説?!失われた30年は「錯覚」であった

 租税は、直接税と間接税に区分して理解されるのが一般的です。

 直接税とは、税金を納める義務のある人(納税者あるいは徴収義務者)と税金を負担する人(担税者あるいは納税義務者)が同一人であり主なものとして法人税や所得税があります。

 間接税とは、税金を納める義務のある人(納税者あるいは徴収義務者)と税金を負担する人(担税者あるいは納税義務者)が異なり主なものとして消費税や酒税・たばこ税があります。上記の区分は、常識として大多数の国民は理解していたはずです。
 ところが、ここに大きな「錯覚」があったことが判明しつつあります。それは、間接税の代表格である消費税です。税率1%で税収が2兆5千億円、10%で25兆円という巨額な税収を確保するまでになっています。

 間接税において、事業者は単なる徴収義務者であって納税義務者ではないことは酒税やたばこ税で理解出来ます。ところが、消費税法第5条(納税義務者)の項で、事業者は国内において行った課税資産の譲渡等につきこの法律により消費税を納める義務を負うと規定されており「消費者」と言う言葉は登場しません。
 法律上、消費者は10%値上げされた商品を購入していることになります。つまり、消費税は「事業者」に課せられた付加価値税であり直接税だったと考えられます。

 では何故、付加価値税なのか。それは、「課税売上−課税仕入=付加価値」だからです。この付加価値に、10%の税率を掛けたものが消費税となるのです。
 本来、直接税であるならば赤字の事業者には担税力がないので納税義務は発生しません。ところが、消費税は純利益ではなく付加価値の段階で10%の税金負担が発生するために、10%上乗せして販売しているに過ぎないと言えます。そのため、赤字企業は10%以上の価格改定を行わないと事業継続が厳しくなってしまうのです。

 消費するたびに、10%課税されれば販売が減少するのは当たり前です。その金額は、年間で25兆円におよびGDPの60%を超える個人消費に急ブレーキがかかったことが主因と挙げられます。
 バブルの崩壊は1989年、消費税の創設が1990年(平成元年)以後3%、5%、8%、10%とデフレが進行する中で増税が成長の足を引っ張り続け、今や経済成長率157位まで転落しました。

 また、借金の返済は経済成長には全く寄与しないという事実が副因としてあげられます。それは、過度なプライマリーバランス政策です。「基礎的財政政策」と言われるもので、政策に必要な経費を主に税金で賄うという財政健全化問題です。一千兆円を超える国債残高を早期に正常に戻すために、税収の一部を返済に充てるのが現状です。
 増えた税収を成長戦略に活用するならば意味がありますが、この政策を、永年継続し返済に回したためにGDPに全く寄与しませんでした。

 経済成長には、国家が率先して成長産業を育成する姿勢が不可欠となります。そのためには、膨大な資金が必要であり税収で賄えなければ国債発行で資金を創設する以外にはなかったはずです。
 企業や家計を同じと捉え借金は悪という誤った思想が蔓延し、緊縮財政を続けたのです。徴税権と貨幣発行権があるため、同一視する必要は無かったのです。

 強力な成長戦略を制定し、税収の自然増を以て財政運営に当たるのが王道ではないでしょうか。それにも拘わらず、令和5年初頭から消費税率13%案が出始めています。景気回復への道が、また遠のいてしまいそうです。

 如何にしたら税収を上げられるかを問う前に、どうしたら安定成長が出来るか戦略優先で考えた方が楽しいのではないでしようか。楽しいことは、「脳」は自動的にフル回転してくれると私は思います。